モデル事務所への応募にプロが撮った写真は必要?

答えは「いいえ」。事務所が求めているのは、自宅で撮った加工なしの宣材用スナップです。何を送ればいいのか、プロの写真が役立つ場面と不要な場面をまとめました。

Get Scouted 編集部··1 分で読めます

昔は、応募といえばファイルを持参するものでした。いとこの知り合いのカメラマンに撮ってもらった光沢紙の写真を二十枚ほど抱えて、事務所の受付にやって来る。スモーキーなアイメイクに、扇風機でなびかせた髪、念入りなレタッチ。マネージャーは礼儀正しくページをめくったあと、「携帯持ってる?」と聞いて廊下へ連れ出し、壁の前で三枚だけ写真を撮るのです。

では、モデル事務所に応募するのにプロが撮った写真は必要なのでしょうか。答えは「いいえ」です。 事務所が見たいのは、シンプルで最近撮った、加工なしのあなたの写真。業界では「デジタル」「スナップ」「ポラ」などと呼ばれ、スマホと根気強い友人がいれば自宅で撮れます。プロによる撮影はもっと後の段階で、所属が決まってから事務所が手配するのが一般的です。契約前に高額な撮影費を払ってしまうのは、新人がお金を失う典型的なパターンのひとつです。

なぜ事務所はプロの撮影を求めないの?

腕のいいカメラマンの仕事は、被写体を「変身」させること。一方、マネージャーの仕事は「ありのまま」を見極めること。この二つは、まったく逆の方向を向いています。

スカウト担当が応募写真を開くとき、頭にあるのは現実的な問いばかりです。自然光の下で肌はどう見えるか。あごのライン、肩、脚の形は? 本当の身長は? 明日クライアントのところへ行かせたら、現れた本人は写真どおりか? シェーディングやスタイリング、ドラマチックなライティング、レタッチャーが半日かけた修整は、どれもその答えを見えにくくしてしまいます。作り込みすぎた写真はかえって不利になることもあります。マネージャーはその下にある素顔を想像しなければならず、たいていはわざわざ想像してくれないからです。

タイミングの問題もあります。事務所は、今シーズンどんな仕事が動いているか、自分たちの市場に合うカメラマンは誰かを把握しています。新人が所属すると、事務所は送り込む予定の仕事に合わせたスタイリングでテスト撮影を組むのが普通です。どの方向が合うのかも分からないうちに自分で作ったポートフォリオは、結局使われないことが多いのです。

いちばんいい応募写真は、あなた以外に何も起きていない一枚。

では、代わりに何を送ればいい?

デジタルです。いわば業界における「素のあなた」の記録で、どの事務所もほぼ同じセットを求めます。詳しくは自宅でモデルのデジタルを撮る方法で一枚ずつ解説していますが、ここでは要点だけ紹介します。

基本のセット

  • 正面のバストアップ:無表情で、口元はリラックス
  • 笑顔のバストアップ:できれば歯を見せた自然な笑顔
  • 横顔:真横から、あごは水平に
  • 全身・正面:腕は体の横に自然に下ろす
  • 全身・横:自然に立った状態で
  • 腰上または七分身:任意ですが、広告系の事務所には役立ちます

着るもの、外すもの

手持ちの中でいちばん地味な服を、サイズの合う形で着るイメージです。白か黒のタンクトップかフィット感のあるTシャツ、濃い色のスキニーかストレートのデニム、足元は裸足かシンプルなフラットシューズ。ファッション系の事務所に応募する場合、無地の黒いヒールを持っていれば、それを履いた全身ショットを一枚喜ぶマネージャーもいますが、必須ではありません。ロゴや柄物、体のラインが隠れるオーバーサイズのパーカーは避けましょう。

髪はまとめるか、自然に下ろして顔にかからないように。メイクは我慢できる範囲で限りなくすっぴんに近く。保湿クリームと、せいぜいリップクリーム程度で十分です。タトゥー、そばかす、すきっ歯、言うことを聞かないくせ毛があるなら、隠さずに見せてください。事務所はそれを知る必要がありますし、まさにそういう個性を探しているところも少なくありません。

成人の応募者には、体のバランスを確認するために水着や下着姿のデジタルを求める事務所もあります。ファッションやフィットネスの分野では普通のことですが、応じるかどうかは自分で決めてかまいません。18歳未満の場合は、最初から最後まで保護者が関わるべきですし、体に合った普段着で十分です。

光、角度、そしてスマホ

  1. 1午前中か午後の早い時間に窓のほうを向いて立ち、やわらかい間接光を顔に当てます。真昼の強い日差しやリングライト、寝室の天井照明はNGです。
  2. 2背景は白か明るい色の無地の壁に。洗濯かごはどけておきましょう。
  3. 3友人にはスマホを縦に持ってもらい、全身は胸の高さ、バストアップは目の高さで撮影します。下からあおって撮ると脚長に見えますが、マネージャーにはすぐに見抜かれます。
  4. 4近づいて撮るのではなく、少し下がってズームしてもらいましょう。広角レンズは顔を横に引き伸ばし、脚を短く見せてしまいます。
  5. 5フィルター、美肌モード、ポートレートのぼかしはすべてオフに。撮ったあとも、軽く明るくする程度の編集すらしないでください。

デジタルと一緒に、正確な身長、スリーサイズ、年齢、居住地、連絡先(18歳未満なら保護者の連絡先)を添えます。測り方に自信がなければ、メジャーで二回測って正直な数字を書きましょう。どのみち最初の面談で事務所が測り直します。

実際にはどこへ送る?

ほとんどの事務所は公式サイトに「モデル募集」や「応募フォーム」を設けていて、今でもメールで受け付けているところもあります。一社ずつ個別に応募するのは無料ですし、近くの都市にある事務所には直接応募しておく価値があります。何を書けばいいか、連絡を待つ期間の目安などはモデル事務所への応募方法で紹介しています。

もっと幅広い事務所に一度にアプローチしたいなら、自分では思いつかないような地域の事務所も含めて、Get Scoutedから事務所にプロフィールを送ることもできます。審査は各事務所がそれぞれの基準で独自に行うので、契約を約束できる人は誰もいませんが、同じ六枚の写真で四十件のフォームを埋める手間は省けます。

プロの写真が本当に役立つのはどんなとき?

例外もいくつかあります。すでに素敵な写真を持っている人も、何か間違えたと思わなくて大丈夫です。

  • 実際に仕事をした経験がある。 地元のブランドや友人のレーベル、小規模なキャンペーンでモデルを務めたことがあるなら、その写真を一、二枚デジタルに添えましょう。撮影現場でポーズをとれる証明になります。ただし、デジタルの代わりにはなりません。
  • 広告系や俳優寄りの仕事を目指している。 俳優も抱えるタレント事務所や広告系の事務所の中には、すっきりとした自然な宣材写真を好むところもあります。それでも最初の応募なら、きれいに光の当たったスマホのポートレートで問題ないことがほとんどです。
  • 事務所に所属せずフリーで活動する。 自分で仕事を取っていくなら、表現の幅を見せる写真が必要です。そこで初めてモデルのポートフォリオ作りが本格的なプロジェクトになります。

新人の多くは、作品撮り(TFP=タイム・フォー・プリントとも呼ばれます)で最初の写真を揃えます。カメラマン、スタイリスト、モデルが報酬なしで協力し、できた写真を共有する形です。カメラの前での動き方を学ぶ絶好の機会にもなります。カメラマンの過去の作品や評判を確認し、スタジオか人目のある場所で撮影し、誰かに付き添ってもらいましょう。18歳未満なら保護者が同行すること。毎回必ずです。

「まず写真が必要」と言われたら危険信号?

多くの場合、そうです。この業界で最も古い手口はこんな具合です。ショッピングモールで声をかけてきたり、Instagramでメッセージを送ってきたりした「スカウト」が、あなたのルックスを褒めちぎったあと、事務所で検討してもらう前に専属カメラマンによるポートフォリオ撮影が必要だと説明する。料金はたいてい数万円、ときにはそれ以上。そして支払ったあと、なぜか事務所の話はいつまでも具体化しないのです。

まっとうな事務所は、所属のためにお金を請求しませんし、検討の条件として写真の購入を求めることもありません。実際にあるのは、地域や事務所によっては、所属後に一部のテスト撮影や印刷の費用を事務所が立て替え、のちに報酬から差し引くというケースです。その場合は契約書に明記されているべきですし、サインする前に内容を理解しておく必要があります。所属のオファーもないうちに「提携カメラマン」へ前払いするのは、まったく別の話です。

スカウトが最初に欲しがるのがあなたのカード番号なら、それはスカウトではありません。

まっとうな事務所と詐欺事務所の見分け方では、あいまいな契約書や受講必須とされるレッスンなど、ほかの警告サインも解説しています。

Instagramに載せている写真はどうなの?

スカウトはSNSもチェックしますし、応募フォームでアカウント名を尋ねる事務所もあります。フィードからは人柄やスタイル、日によってどう写るかが伝わります。でも、デジタルの代わりにはなりません。ほとんどの人は、いちばん写りのいい角度と光、フィルターで投稿しているからです。マネージャーがあなたのInstagramを気に入ったら、次に求められるのは加工なしのスナップです。

プロフィールを味方につけたいなら、自然でフィルターなしの写真を何枚か、目につく場所に固定するか投稿しておきましょう。それ以外の日常の投稿まで消す必要はありません。

デジタルを送ったあとはどうなる?

事務所が興味を持った場合、たいていは追加のデジタルの依頼(服装や髪型を指定されることもあります)、オンラインまたは対面での面談があり、そこで採寸と事務所独自のスナップ撮影が行われ、場合によってはテスト撮影へと進みます。所属が決まると、事務所が信頼するカメラマンとともにブックやコンポジットを作っていきます。プロの写真が本当に意味を持つのはこの段階で、しかも明確な目的をもって撮影されます。

連絡がなくても、写真が素人っぽすぎたせいであることはまずありません。たいていは、似たタイプのモデルがすでに所属しているか、その事務所のクライアントに合わないというだけです。事務所ごとに求めるものは違うので、幅広く応募するのが得策です。

送信前のクイックチェック

  1. 1写真は1か月以内に、今の髪型で撮ったもの?
  2. 2サングラスや帽子、濃いメイクなしで、顔がはっきり見えている?
  3. 3頭からつま先まで切れていない全身ショットが少なくとも一枚ある?
  4. 4フィルターや編集は一切していない?
  5. 5身長、スリーサイズ、年齢、居住地を正確に記入した?
  6. 618歳未満の場合、保護者も応募に含まれている?

六つすべてにチェックが入れば、マネージャーが面談にOKを出すのに必要なものは揃っています。準備ができたら応募を始めて、あとはスナップに語ってもらいましょう。数か月ごと、あるいは髪を切るたびに撮り直し、白いタンクトップはすぐ取り出せる場所にしまっておいてください。

よくある質問

モデルのデジタルはスマホで撮ってもいい?+

はい。ピントが合っていて明るく、加工されていなければ、ほぼすべての事務所がスマホの写真を受け付けています。背面カメラを使い、窓からの自然光と無地の壁を背景に、自分で持たず友人に撮ってもらいましょう。

モデル事務所に応募する前にカメラマンにお金を払うべき?+

その必要はありません。最初の応募ではシンプルなデジタルが好まれ、所属したモデルは事務所が手配するテスト撮影を受けるのが一般的です。事務所に検討してもらう前に撮影パッケージの購入を強く求められたら、危険信号と考えてください。

自撮り写真を事務所に送ってもいい?+

ないよりはましですが、腕を伸ばして撮る自撮りは顔立ちがゆがみ、全身も写せません。友人に数歩離れて胸の高さから撮ってもらうほうが、事務所にずっと正確な姿が伝わります。

応募写真でメイクをしてもいい?+

最小限にするか、しないのがベストです。事務所は素肌や眉、顔立ちをそのまま見たいので、保湿クリームかリップクリーム程度で十分。厚塗りのファンデーションやシェーディングは、マネージャーが判断しにくくなります。

広告系のモデル事務所にはプロの宣材写真が必要?+

俳優も所属するタレント事務所や広告系の事務所の中には、すっきりした宣材写真を好むところもありますが、最初の応募なら自然光で撮ったスマホ写真でもたいてい審査してもらえます。各事務所の応募ページで個別の条件を確認しましょう。

デジタルはどのくらいの頻度で更新すべき?+

数か月ごとが目安です。さらに、髪を切った、髪色を変えた、体型が大きく変わった、背が急に伸びたなど、見た目がはっきり変わったときも撮り直しましょう。事務所が見たいのは「今のあなた」です。